ホーム >> 知床のエゾしかは今
平成17年7月17日 知床が世界自然遺産登録となりました。
エゾシカ、キタキツネ、オジロワシ、ヒグマ、鮭、アザラシなど、試される大地北海道の代表的な野生動物に加え、シコタンヨモギやシレトコスミレなどの稀少な植物が生息する知床は、我々人類のみならず彼ら自身にとっても、極めて貴重な財産です。
しかし地球温暖化などの環境変化の影響もあってか、エゾシカが爆発的に繁殖しており、北海道の大きな社会問題となっています。
そして道内でも特に厳しい環境下にある知床は、絶妙かつ微妙なバランスで保たれてきた生態系が、異常に増え過ぎたエゾシカによって、その食物連鎖を大きく狂わせられ、この地に棲む全ての動植物にとっての脅威となっているのが現状です。
もちろん人間社会への影響も深刻で、林業では樹皮をかじられ、枯死する木々。
酪農業は蒔いたばかりの種や家畜のエサも被害に遭い、荒らされやせ細った大地からの貧栄養分の川水は、豊かなオホーツクの海も細らせてしまい、今後は漁業へのダメージも懸念されます。
またシカとの交通事故も年々増加の一途をたどっています。
そして何より彼ら自身が、大きくバランスを崩したがためにエサの確保も居住区も過酷な状況下にさらされているのです。
だからと言って悲観的、後ろ向きに考えることはないでしょう。
確かに、エゾシカが爆発的に増加に増えた環境変化の、その引き金を引いたのは恐らく我々人間の方でしょうから、この環境悪化を食い止めるべく努力する、義務と責任はあると思われます。
しかし、実はそれほど難しく考えることなく、人間も自然界の一員としてこの大自然の恵みに感謝し、食物連鎖の一環のなか、つまり「食べる」ことで、この問題に取り組めるのではないでしょうか?
この世界自然遺産を守るためにヒトと自然の調和を図り、豊かな未来へとつながる有効な施策。 わたしたちが選ぼうとする道の一つです。